ミチミチ

すぐ人に会える、という京都の一番気に入っている部分が僕の東京にはやっぱりなくて、仕方なくTwitterを開くんだけど、知り合いみんなが大集合して息を潜めている、なんというか満員電車のミチミチ感があり、うえー、となった後に自分のホームページを見ると、これは山の中にひっそり建っている小屋だろう、家主さえ1ヶ月に1回くらいしか来ない、でもインターネット上にはあるのですぐアクセスできて、いいなあ。
2000年頃のインターネットの良さ、みたいに僕らが懐かしんでいるものは、こういうごくひっそりとした佇まいの場所に瞬時に行ける事だっただろう。そしていつどんな場所でも渾然と輝くWelcome to my homepageの文字。

今はやっぱりガックリとしている時間。ガックリしているからここに来て書くんだろう。
ここは大井の小屋。

東青梅の日々

展示がはじまって2週間ちょっと。
土日にどばーっと人が来てくれて、月曜から金曜まで1人になって仕事、というのを、もう何回も繰り返した気がするけど、まだ2週間か。ほんとか?
学校の怪談みたいな、いつも人がいっぱいいる場所がガランとすると怖い、みたいな感じで、土日の喧騒からのこの平日、必要以上に寂しく感じて、精神的にかなり参ってしまう。

京都での数カ月がとても良かったみたいで、来る人来る人みんなと楽しくしゃべれて、ギャラリーを運営している秋葉さんにも、大井くんコミュ力高い、など言われてしまった。ハハハ。

作品は、ハングル文字の「パーティー」で、それを読める人しか入れないパーティーを続ける、というのではじめたんだけど、どちらかというと普通に僕がそこで暮らしている、みたいな、少しずつズレてきている。
Twitterなんかにもこのへんは書いたけど、歩いて5分のスーパーで買ってきた肉を焼くだけでいくらか利益がでる、という、そうは言っても大抵は赤字なんだけど、物々交換的なお金の面白さに、人のお腹すいた感じに対して商売するご飯屋さんの特殊さに、それからホームページの作り方講座をやってみて、それが思いの外うまくいっている事に、それぞれびっくりしている。前に一度カフェを作ろうとして頓挫した事があったけど、やっぱりスペースが1つあると僕いいみたい。
久しぶりの東京の街の感じを見てまわったり、大濱くんが来たのでブルーシートを見た後に遊んだり、ギャラリーのある東青梅の近所の人達と仲良くなったり、うどんを作るのにハマったり。
青梅は若い作家の人が多くて、飲み屋に入ってみたら泥酔したのに1500円しかとられなかったり優しい人の比率高い。良い感じ!

でもとにかく今この時間は、少し落ち込んだ時間というか、単純に疲れているというか、なんだかみんなが僕の事を嫌いなような妄想に取り憑かれており、でも今夜8時からホームページ講座だから、あと1、2時間で、人がまたどばっとやってきて、一気に正常に戻るんだろう、それが信じられないような気持ちだったり。
僕はパソコンも好きだし、ずっと1人が好きなタイプなのかと思ってたけど、どうも本当はすごく寂しがり屋で、誰かがいないとどうにもならない性格だったみたい。

あと2週間、服を全部着つくしてしまったので洗濯したりしながら、堪えよう、というかきちんと面白くしていく方向で、またがんばってポジティブに・・・。
京都に戻ってからの、色々やりたい事もどんどん増えて、それとか、自分についての事とか、他人についての事とか、を、毎日悶々しながら、暮らしています。

できるだけ、もう少し毎日書くようにしよう。

パラレル

1年前の京都旅行で、今住んでいる吉田山という丘を登る途中に、大量の電化製品が散らばっているゴミ屋敷みたいのがあって、そこのおじさんとちょっと立ち話したのを、今ふと思い出した。
でも、あれがどこだったのか全然わからない。

考えてみると、住み始めた今ではたどり着けないというか、どこにあったかわからないようなものって他にも多くて、電車に揺られて行った長い石の階段のある山だとか、ラブホテルばっかり並んでる路地だとか、魚屋の奧の料亭だとか、いっぱいある。

京都という場所、みたいなものが多分2次元的にあって、自分がその上を通っていく道筋みたいなものが1次元の線になって、その時どきのタイミングで、場所の現れ方みたいなものが少しずつ違くて、それはものすごく細かく枝分かれしているんだろう。
そして何度もその線を引いていくと、白い紙をボールペンでぐるぐる塗りつぶすみたいに、なんとなく2次元になっていって、その地域自体を自分なりに把握できていくんだろう。

住んだり旅行にきたり、それに関わった人数分、何重にもそういうぐるぐるの紙が重なりあって3次元になっていて、これが町だ。

例えば食べログだとか歴史だとか、そういうのは点点とした0次元でしかないような、最初から白い紙自体を俯瞰できるわけじゃないし、そこに線としてすーっとくぐりこんでいくというか、そうしている存在は一体なんなんだろう。
なにが僕に、その場所にそういう形で線をひかせるんだろう。