お腹すいたなー
町田康の読書会、なんとなく、10人くらいで座を組んで、悶々と本について話し合う、みたいなのを想像していたら、50人以上がギュウギュウに入った、思いのほか大規模な感じになってた。神奈川の、何か山みたいな場所の上に建ってる資料館、みたいな、ちょっと辺鄙な場所だったし、京都の知り合いと僕とのエピソード、みたいな、町田康とのそもそもの出会いがそういうささやかなものだったので、油断していたけど、町田康はビッグネームなのだった。
少し遅れて着いたんだけど、人をかき分けて出来るだけ近くに座り、こんな顔だったんだ、って思いながら見て。町田康が本の構造みたいなものを話していって、何か意見ある人?と聞くと、結構多くの人が手をあげて、自分の見解とか、登場人物のリストを作ってきたとか、そういう事を喋って。読書会って行ったことなくて不安だったんだけど、手をあげた人達の話もすごく面白くて、良かった。
山下澄人の「ルンタ」という本が課題図書だったんだけど、これがほんとにめちゃくちゃに良くて・・・。色んな登場人物が、死んだ人どころか物語の文章それ自体とも絡みつつ、回想と現在を縦横無尽に行き来しつつ、人物ごとの時間軸がセロファンみたいに重なり合って、それを関西弁の長い会話文が繋いでいって。ほとんどの登場人物に、すごく魅力的なエピソードというか、流れが用意されていて。これは町田康さんが読書会の中で言ってたんだけど、全部の登場人物をべちゃっと平面に衝突させた、その平面の描写、と説明していて、ああ、ほんとだなーと思って、なんかでもその平面にさせちゃった後の感じ、が、あんまりにも全部平等に愛されているというか、それぞれのその場所の色?が、画面にとって換えようのないもの、みたいな、すごい説得力のある強度があって、過去から現在、未来への展望まで、全部の人間の全部の時間についての、肯定、の結果、の平面、という具合で、本当に変な元気が出るの。同じ本に収録されてる「星になる」という小説が、その辺りの解釈の方向みたいなものを後押しするような感じで、入っていて、ちょっとこの本は、これからある程度の期間、どのくらいかわからないけど、持ち歩くと思う。
この山下澄人さん、今度の飴屋さんの舞台にも、原作として使われているらしくて、ものすごく楽しみ。京都の、僕はでも、それ結構重要だったんだけど、ささやかなあの知り合いから紹介された町田康から、今変な形でリンクしたようで、すごく嬉しい。
町田康を紹介してくれたその知り合いにサイン本をあげたい、と思って、その日の昼に本屋で買ってあった「告白」を持っていって、読書会が終わってから町田康さんにこっそり近づいて、すいません、サインとかもらえませんか、と聞いたら、ああ、はい、と言って、ささらっと書いてくれて、返す時にちょっとにやっと笑いながら渡してくれた。
「告白」がいかに面白かったか、どう本人に伝えるか、前の晩寝る前にちょっと考えていたのに、言えなかったので、やっぱり本人に言わなきゃ!と思って会場に戻ると、すでに数人のファンみたいな人たちに囲まれて順番に応対してるような状況だったので、やめた。
僕はどうも気負いすぎてたみたいで、異常に疲れてしまい、仕事の電話も取れず、帰ってからすぐ寝た。
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ちょっと夜中に起きて、京都の知り合いと電話して。
その後、昼頃に起きて、新しい仕事の打ち合わせをしに五反田へ行った。
今回の仕事は、デザインも含め、0から僕1人の作業になるので、ちょっと気合いが入っている。
DTP出身のデザイナーの人って、Webデザインしてみると、ウインドウのサイズが変わることを一切考えてなかったり、コーディング的にすごく複雑になっちゃうものになってたり、なんかすごくアバウトな配置だったりして、ぱっと見は確かにWebっぽいんだけど、ちゃんと見てみると全然駄目、みたいな事があって、正直・・・。まあこれは全然、人によることで、ほんとにすごい人たちもいっぱいいるんだけど!
そして、とにかくデザイナーと名乗っているからにはデザインはその人、プログラマーと名乗っているからにはプログラムは僕、という感じで、役割分担みたいのがまず最初に決まってしまって、みたいなのがすごく多いので、ちょっと苦い思いをしながらやった仕事、というのも過去にはあり。
だから、今回の0から全部僕、というのは、格別にやる気が出ている。
大体こういうのはデザイナーと名乗るかどうかと同時に、実績をどれだけ見せられるか、というのがかかっているので、もちろん。今回はほんとに掴みのチャンスだと思って、すごくがんばりたい。
この仕事を紹介して頂いたKmさんは、特にお金が入るわけでもないのに、打ち合わせの最初から最後まで一緒にいてくれて、僕がうっかり聞き忘れたお金の細かい事などについて、2言3言、ぽつっと口を挟んでくれて、お陰ですごく助かってしまった。60歳くらいの人で、今よく一緒に仕事をしているStさんの元上司で、真っ白の巨大なベンツなんか乗ってて、ちょっと怖いなあ、くらいに思ってたんだけど、下請け、とかじゃなくて、1人の大人として、僕を相手のお客さんに会わせて、打ち合わせを進めさせてくれて、それを最後まで見届けてくれて、優しいなー、って感動した。
終わった後、飯でも食いに行く?って、ハンバーグをご馳走になり。おいしかった。
Stさんも、この人はWebのコーディングもデザインもバリバリできる人で、今回の仕事についてKmさんから、大井くんはこの仕事できるかな、と聞かれたそうで、問題ないと思いますよ、と言ってくれたらしい。3年間一緒に仕事してきて、ありがたいなあ!
帰った後、この2日間ですごく疲れてるはずなんだけど、なんか元気がありすぎて寝れず、お腹すいたけど、どうしようかな。町田康の音楽は聞いたことなかったので、それ聞きながらコーラ飲んで寝よう。